ビデオスロットをシミュレーション

ビデオスロットをシミュレーション、その結果

今回は個人的に大作です。

とある消息筋からビデオスロットの仕組みを教えてもらったので、美麗なグラフィックや派手な演出は出来ないまでも、簡単な仕組みを構築してシミュレーターを作成できないかと思ったのが発端です。

この記事では

  • どんな仕組みのビデオスロットのシミュレーターを作ったのか

また、ビデオスロットを製作する上で重要な以下2点をどうやって設定したのかを書いていきます。

  • カジノ側の儲けの指標である還元率の設定
  • 通常当選の頻度やボーナスの頻度の調整

シミュレーターの本体はこちら→ビデオスロットシミュレーター

ビデオスロットシミュレーターの諸元

まず大がかりなビデオスロットは作れない前提です。

・テキストベースのリールを表現

第1段階としてはテキストベースで(つまり画像グラフィックなし)スロットの画面を生成するようにしました。

・シンボルは全部で10個

わかりやすく、
10、J、Q、K、Aの低配当シンボルと
チェリー、ぶどう、スイカ、BARの高配当シンボルと
Scatterシンボル

を採用しました。それぞれ1文字で見やすくするために以下のように対応します。

10 T
J J
Q Q
K K
A A
チェリー C
ぶどう G
スイカ W
BAR B
Scatter S
・5リール3段(3行5列)のよくあるビデオスロットの形式

3x3リールや、5x3リールはこの業界で標準的ですが、3x3だと自分が満足しないと思ったので、今回はよりビデオスロットで使われることが多い5x3リールを採用しました。

・当選方法は「ウェイ系」

ビデオスロットの当選を判定するために初期のころは「ペイライン」を採用するスロットが多かったと思います。ペイライン判定は今でも主流ですが、最近は「ウェイ系」も多いので、今回はウェイ系の勝利判定をします

ウェイ系は特定のペイラインに揃う必要がなく、隣り合うリールに着地すればよいので当選パターンが多く、プレイヤーにも魅力的に映ります。その分当選判定が複雑なのでロジックに苦労しました。

3行5列リールなので、3の5乗で全部で243通りのペイウェイがある、ということになります。

シンボルは左端のリールから右へ向かって3つ以上揃うことで勝利となります。

・シンボル毎の配当表

5リールあるので、シンボルは最多で5つ揃う可能性があるので、配当表は以下のように設定しました。これはオンラインカジノのとある有名スロットの配当表と同じバランスを適用しています。

シンボル 3個 4個 5個
B 0.5 1.5 12
W 0.5 1.2 6
G 0.4 1 4
C 0.4 0.8 3
A 0.3 0.6 2
K 0.2 0.5 1.5
Q 0.2 0.5 1.5
J 0.1 0.4 1
T 0.1 0.4 1

ScatterのSは画面内に3つ以上出現でボーナス獲得

ひとまずこのブログの読者の方に見えやすい部分はこんな感じで検討しました。(中のロジックの詳細はまた後述)

今回採用したビデオスロットの仕組み

ビデオスロットの仕組みの記事でも書いてますが、今回製作したビデオスロットのロジックは次の仕組みを採用しました。

 各リール内における10個のシンボルの出現確率を決めて、疑似乱数を生成して、最終的に着地するシンボルを決定しています。

なので街のパチスロのようにリール内のシンボルの配置が決まってる訳じゃなくて、その都度シンボルの並びは生成しています。

また最初から小~大まで配当の確率を決めてるのではなくて、シンボルに確率を付与するスタイルです。

このケースだと当選や配当が複雑になり論理的に還元率を設定することが難しいので、繰り返しのシミュレーションの中で目指す還元率まで調整して持って行くやり方になります。

ビデオスロットのシミュレーションに使った設定や確率

シンボルとボーナスの出方を以下のように定義しました。

シンボルの定義

最初は以下のように考えました。

シンボル 出現率 配当
3個 4個 5個
B 0.1 0.5 1.5 12
W 0.1 0.5 1.2 6
G 0.1 0.4 1 4
C 0.1 0.4 0.8 3
A 0.1 0.3 0.6 2
K 0.1 0.2 0.5 1.5
Q 0.1 0.2 0.5 1.5
J 0.1 0.1 0.4 1
T 0.1 0.1 0.4 1

シンボルの出現率は皆等しく0.1(10%)としました。

これで当選率や還元率がおかしいと思ったら、確率を調整してシンボルの当選頻度を変え、カジノ側に立った還元率を目指すべく調整していこうと思いました。

ボーナスの定義

重要なボーナスの設定は以下のようにしています。Scatterシンボルは画面内のどこに出現しても3つ以上着地すればボーナス確定です。

Scatter ボーナス 配当範囲
3 MINI 20~100
4 NORMAL 40~200
5以上 BIGWIN 100~3000

ビデオスロットでボーナスと言えば「フリースピンボーナス」が考えられます。

例えばScatter x 3で無料で10回スピンできる、4個なら20回スピン、5個なら30回スピンのようなものは主流と言えるでしょう。

けど、複雑になるので、今回は特定の配当範囲を持たせた即金を出す仕組みとしました。

上の表に従えば、Sx3で20~100倍の配当がランダムで出ます。Sx5で最大は3000倍配当ですね。最近は1万倍配当の凄いスロットもあるけど、それは追々調査しようと思います。

ちなみにリール内で出現確率10%のScatterが5本のリール内に3つ着地する確率は

15C3*0.1^3*(1-0.1)^(15-3)=0.128505(約13%もある!

4つ着地は4.28%、5つ以上着地は1.272%なので、すでに最初からボーナスが5、6回に1回も出てしまう設定になっちゃってます(;・∀・)

けどこの設定でどんな風に配当が出るのかも気になるので、実際にシミュレーションするまではこのままでいきます。

還元率を調整するためにシミュレーションを繰り返した

実際にプログラムを書いて動かしてみました。

最初の設定で1万回シミュレーション

この時点では適切なシミュレーション回数がわからなくて。多ければ多いほどいいんだけど取り急ぎまわしてみた。

当選回数 3372回
合計配当 333042
ボーナス数 1853回
RTP 3330%

これはww

やはりボーナスが出すぎる設定だったか、大幅にプレイヤー有利な設定になってしまった。あと追加で2万回実施したけどだいたい同じ感じになったので、設定を変えることにしました。

ボーナスの出現率を100スピンに1~2回になるように調整

Scatterの出現率を0.025にしボーナスはだいたい200スピンに1回出るように設定しました。

それに伴って他のシンボルの出現率も調整(Scatterを減らしたぶん他を増やさないといけない)して以下のようにしました。

シンボル 確率
B 0.1
W 0.101
G 0.102
C 0.103
A 0.104
K 0.105
Q 0.11
J 0.12
T 0.13
S 0.025

これでより低配当シンボルが揃いやすくなったはず。

これで1万回スピンした結果

当選回数 2212
合計配当 6460
ボーナス数 64回
RTP 64.6%

逆にww

今度は逆に絞り過ぎになったようです。プレイヤーへの還元率は64.6%ですからカジノ側超つええ。ボーナスは予定通り100~200回に1回出る感じになったけど、これだけ配当が安いとプレイヤーが定着してくれませんね。

ボーナスの頻度が100~200回に1回出るというのはスロットとしては平均的な所を狙ったつもりです。なのでScatterの確率0.025はこのままでよいと思いました。

後はどこを調整するかというと、ボーナスの配当をもう少し高くするとか、他のシンボルの出現率や配当を変えるなどして、概ねRTP95%を目指していこうと思います。

最終的に行き着いた設定がコレ

アレコレ調整しながらたどり着いた設定がこちらです。

シンボル 確率 3個 4個 5個
B 0.094 0.5 1.5 12
W 0.1 0.5 1.2 6
G 0.101 0.4 1 4
C 0.102 0.4 0.8 3
A 0.103 0.3 0.6 2
K 0.11 0.2 0.5 1.5
Q 0.11 0.2 0.5 1.5
J 0.12 0.1 0.4 1
T 0.13 0.1 0.4 1
S 0.03 MINI NORMAL BIGWIN

ボーナス配当の範囲

最小 最大
MINI 25 110
NORMAL 70 200
BIGWIN 200 3000

この設定で100万回シミュレーションを100回(つまり合計1億スピン)繰り返した結果、RTPは概ね93%~99%になりました

具体的には

RTPの最大値 99.94%
RTPの最小値 93.52%
RTPの平均 96.89%

こんな感じ。1億スピンの平均が96.89%ということで、現実的にありそうなビデオスロットが出来ました。(本当にメーカーがリリースしようとしたらもっとテストするんだろうけど、今回は個人的に満足してます。)

ビデオスロットのシミュレーターが完成してわかったこと

まず、まだ公開できるような見た目じゃないので整えたら後日公開してみようと思います。

なぜ私がビデオスロットのシミュレーターを作ってみようと思ったのかと言うと、

  • そもそもスロットがどんな風に動いているかという興味
  • メーカーが提示しているRTPは大抵100%未満だから長期プレイでは必ずメーカー側が利益が出るようになっているのに、なぜ多くのプレイヤーはスロットで遊ぼうとするのかを知りたい
  • そもそもこの負け確(とあえて表現)スロットで勝てることがあるのか?それはどんなプレイヤーか
  • スロットにおいてシンボル数、出現確率、ボーナスの頻度や配当の調整で、どんな風にプレイ体験が変わるのかを知りたかった
  • スロットはとても複雑なのであらかじめ狙ったRTPを実現するのが難しい、何度もシミュレーションして理想のRTPに近づけていく‥と聞いたので、それを体験してみたかった

こういった探求心があったからです。

今回のような作り方をした場合でわかったこと

シンボル数が多いと勝ちの組み合わせが少なくなって当選頻度が下がる。

1つのシンボルの出現率を増やすことで、当選頻度があがるのでプレイヤー体験的には嬉しくなる(例えば少ないシンボル数で一番安いシンボルの出現率を増やせば一定の低ボラティリティを実現できる)

ボーナスの頻度を下げて額を高くしすぎると、高ボラティリティになる。多くのプレイヤーが大きく負け、ごく少数のプレイヤーが大勝ちする構図のスロットになる(この場合、メーカー側としてもリスクが高くなる気がする。)

なのでメーカー側としては多くのプレイヤーにプレイして欲しいから、どんなビデオスロット体験を提供するか、調整を繰り返して提供してるんだと思いました。

よくある疑問と回答

ビデオスロットでよくある疑問として、例えば$1で100スピンしたらどれぐらいの人が儲かるの? 1000回スピンしたらどれぐらいの人が儲かるの?と言う事でしょう。

これについては試してみたので結果をみてください。

RTP 96.8946%のスロットを想定してシミュレーションしました。RTP96.89はよくあるスロットに入るでしょうから、皆さんが何も考えずにちょこっとプレイしたらどうなるか、を考えるときに十分な条件だと思います。

さて①100スピンに1万人が挑戦したとき、②1000スピンに1000人が挑戦したときでデータ取ってみました。

人数 割合
1万人が100スピンした
ときに利益が出る人
3750人 37.5%前後
1000人が1000スピンした
ときに利益が出る人
340人 34%前後

個人的にこれはとても興味深い結果でした。だいたい3人に1人は利益が出るんじゃん

長くプレイしたら順当に資金を減らすけど、短期的にみれば利益を出して終了できる人も、意外と多いことが判明。

ビデオスロット攻略に反映させられるか?

さてこのサイトは「カジノゲーム攻略ナビ」として頑張っているので最後は攻略の話に帰結。

今回のシミュレーションをしてみて、現実にカジノのビデオスロットにどう向き合うかという話を最後にしようと思います。

やはり今までもお伝えしていますが、長くプレイしたら確実に資金が目減りするだろうから、あくまで娯楽としてプレイすることが重要だということをお伝えしたい

短期的に儲かることはあっても、次の大勝ちを夢見て繰り返したら駄目ってことです。

スロットの中では高還元率と言われる97%前後だとしても、長期的には、プレイヤーが賭けた合計金額の3%がカジノに取られることを意味しています。勿論、これはあくまで理論上の話であり、実際の結果はランダム性があるため、個人差があるでしょう。

スロットへの向き合い方や攻略については、次のようなことが重要です。

ベット額の上限を設けて、適度な範囲でプレイすることが大切です。自分の資金に合わせて、許容できる範囲内でプレイすることで、大きな損失を出すことを避けることができます。

②プレイするスロットの特徴やボーナスの頻度に配当額の払い出しの傾向などを理解して、適切な戦略を考えることが重要です。例えば賭け金を変えるタイミングを見極める、適度な利益で辞める、などの戦略があります。

③自分のプレイスタイルに合ったビデオスロットを選ぶことが大切です。自分が楽しめる、好きなテーマのスロットであれば、より長く楽しくプレイすることができます。

④スロットで大勝ちを狙うことは、宝くじのように、あくまで夢の一つであり、運試し的なプレイが健全です。自分の資金に合わせた適切な範囲内で、楽しみながらプレイすることが大切ですね

では、以上です。

関連記事一覧